中部地方は山また山
北・南・中央アルプスのほか八ヶ岳、乗鞍岳、御嶽山、白山それに頸城の山々
若いとき足しげく通ったのもこの一帯である。
その足跡を記すには、古い記録を引っ張り出してこなければならない。 (2022年7月現在)
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1日目
妙高杉ノ原高原スキー場からゴンドラを使って入山。
妙高山の外輪山となる三田原山へと登り、黒沢池ヒュッテに泊まる。人は多かったがなんとか場所をえることができた。この日の夕焼けは美しく明日の晴天が期待できた。
2日目
茶臼山の南斜面を少し滑ってから、縦走をつづける。火打山への稜線は白一色で、視界を遮るものはなく実に気持ちが良い。火打の下りはやや急でシートラーゲンをし、念のために補助ロープを使った。影火打から胴抜ヶ切戸へと進むと標高差350㍍の焼山への登りが待っている。この頂を越えても雪は固くクラストしていてアイゼンははずせず、最後をわずかに滑って富士見峠へ。ここに雪洞を掘って一夜の宿とした。
1日目
室堂から一ノ越を越えて雄山谷へ。龍王岳と鬼岳の間のコルへを目指す。雨が激しくなり、ここまで同行のFTメンバーは一ノ越小屋へと引き返す。私とTとは登高をつづけ、鬼岳直下で雪洞を掘って泊る。ここでガスを忘れてきたことに気づく。水なしのビバークはつらいものだ。
2日目
雨は上がり快晴。獅子岳を越え、ザラ峠へと滑っていてアイスバーンに気づかず滑落。ガレ場につっこんで両足を打撲。パンツが破れ血がにじむ上に、太ももが内出血して紫色に腫れあがる。骨に別状はなかったのが幸い。このあと痛む足をだましだまし進むことになる。
五色平の上でFTパーティに追いつかれ、以後、太郎小屋まで行動を共にする。ガスも借りてお湯が沸かせることになった。鳶山に登り、その先の急な尾根をなんとか滑る。越中沢岳への登り、頂上手前で西側のスゴ二ノ谷の左俣に滑り込む。熊があわてて逃げ去った後の二俣にツェルトを張る。
3日目
右俣を登りなおしてスゴ乗越へ。乗越小屋は閉鎖中。ここから間山の登り、さらに北薬師岳から薬師岳へと長い尾根歩きがつづく。場所によってシートラしてツボ足で行くかスキーで行くかの選択をしながら進むことになる。薬師岳の山頂はオートルート前半のハイライト。薬師岳からの滑降は、今までの登高の苦労を忘れさせてくれる快適さ。西面や薬師沢の大斜面は、またの機会にと思いつつ、薬師峠へと下る。ここから少し登り返して太郎小屋へ。
雨を知らせる高層雲が空いっぱいに広がっていたので、小屋泊まりにする。案の定、夜半から雨が降りだした。
4日目
雨は9時頃に止んだので出発する。ガスはまだ視界を悪くしていたが、登るにつれて晴れてくる。左俣岳は東側の山腹を巻きぎみに滑り、黒部五郎岳への登りにさしかかる。頂上は踏まず、手前の肩から急な斜面に滑り込む。傾斜が落ちると五郎沢の快適なクルージングで黒部川まで。川は雪解け水を集めて轟々と流れていた。左岸を進むうちに、雪は次第に厚くなり、やがて流れを隠してしまう。昨日の雨に誘発されたのか、デブリも何カ所か出ていたので、雪崩の危険のなさそうな所まで行ってツェルトを張る。
5日目
今日は朝から快晴。三俣山荘までは1時間ほどの登りだった。眼前の槍ヶ岳、それに突き上げる北鎌尾根の鋸の歯のような岩稜が美しい。それを見ながら、弥助谷へと滑り込む。雪は適度にゆるんで滑りやすい。いつまでも滑っていたい気分の内にモミ沢出合へ。ここからこの沢に入り、双六小屋まで登らなければならない。これで登降の収支は合うというもの。
双六谷も楽しいのだが、最後に大ノマ乗越への急登がひかえている。最後のほうは左上気味にトラバースして、高度差を小さくしておくのが賢い。大ノマ乗越からの滑降はオートルートのしめくくりとしてふさわしい。槍と穂高の稜線を目の前にして、大斜面を行く気分は比類のないものだ。余るほどの充実感を味わいながら、新穂高への長い林道を滑り歩いた。
両股はどす黒い色に変わっていたが、腫れと痛みはかなり引いていた。4日間の山旅、天気も身体も守られたことに感謝するばかりである。
4日間の山旅、黒部源流を滑るのは、数年越しの懸案 前回は3月に北ノ俣岳を越えてトライしたが、黒部五郎岳で頓挫した。 今回、女房、D夫妻とともに新穂高温泉から入山し5日間の好天の下、思いを果たすことができた。
鏡平で一泊した後、翌日には三俣山荘下にベースのテントを張り、そこを起点に山や谷を巡る。
3日目に岩苔小谷を滑って行った高天ヶ原の温泉には湯がなくてがっかりしたが、北アルプスの深奥部まで来られて満足 帰路に岩苔乗越から念願の黒部源流を滑ることができた。 雪はザラメとはいかないまでも、十分に楽しめる柔らかさ 夕日の陰るなか雪面にシュプールを刻んだ。
4日目、目標のもう一つは、鷲羽岳と水晶岳 鷲羽岳からワリモ岳を経て、水晶岳へと縦走した。 水晶岳の頂は北アルプスの中心ではなかろうか。 立山、後立、表銀、裏銀。槍穂、薬師から笠への峰々が一望できる全天下の展望 訪ねることができなかった雲ノ平も眼下である。
若い頃、厳冬期に縦走した北鎌尾根、硫黄尾根、そして槍の西稜 さらに南岳西尾根、滝谷、ジャンダルム飛騨尾根 槍穂の山々は思い出深い。 その時々の山仲間は、みんな山を去ったが、 今もこうして山行を共にしてくれる知己がいること、健康に支えられてここまで登られることは、 幸せ以外の何ものでもない。 もう2度と来ることもなかろうと思うと、 過ぎ去った日々への郷愁か、単なる老い感傷か、 いつの間にか目頭が熱くなってきていた。
日本の海をシーカヤックで旅するのに、
今ノトコロこれに優る入門書はないだろうと自負しています。
これから始める人も経験者も、ぜひ一度読んでみてください。
第1章はシーカヤックで海を旅するために必要なノウハウ
第2章は私のシーカヤックのフィールドと紀行になります。
途中に挿入されたエッセイもお楽しみください。
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